”スピード” 意識していますか? 企画マンに必須の心得

2020.12.09

企画マンやプロジェクトリーダーに重要なスキルのひとつが ”スピード” です。
ビジネスマンであればスピードが重要なのは当たり前だと思う方も多いでしょう。
ここでは企画やプロジェクトに特化して、なぜそれほどスピードが重要なのか、スピードを上げることでどの程度効果があがるのか、そしてスピードを上げるコツについてもお伝えします。
少し心掛けるだけでスピードは格段にあがり、プロジェクト自体も活性化されていきます。

「企画マンやプロジェクトリーダーにとって重要なスキルは何ですか?」
「プロジェクトをリードするときに心がけるべきことは何ですか?」
と聞かれたとき、私がいくつかあげる項目の筆頭が ”スピード” です。

”まずスピード”、”すぐにやる”、“仕事がはやい!” は、リーダーに必須のスキルです。
じっくり慎重型でいい企画マンもたくさんいますが、周囲を巻き込んでいくリーダータイプの企画マンは、ほぼほぼ皆さん仕事がはやいです。

優れた経営者にせっかちな方が多いと言われるのも同じかもしれません。
これは仕事を抱え込み、テンパってバタバタ忙しいのではありません。
余裕と冷静さを保ったうえでのスピードです。

ウォークマンの父と呼ばれた元ソニー副社長 大曾根幸三氏のこんな言葉もあります。

忙しい人間に頼むと「月曜の午後しか空いてないんですよ」などと難色を示す。それでもいいからと頼むと、彼は月曜午後にスケジュールを入れ、きちんと仕事を終わらせる。そうしないと予定が狂って他の仕事に影響するからだ。

元来、優秀な人には仕事が集まるもので、そういう人はいつも忙しい。急ぎの仕事は手の空いているものではなく、忙しい人間に頼むべきものなのだ。”

出典:「急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め|ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53」 石田修大著 (角川SSS新書)


ここでは、企画マンやプロジェクトリーダーがスピードを重視することによる効果や、スピードを上げるためのコツについてお伝えします。

■ なぜスピードが重要なのか?

あなたが何かの企画やプロジェクトに協力しているとしたら、どちらのプロジェクトリーダーがよいですか?

Aリーダー:多少粗い時もあるが、質問や問合せにすぐ答えてくれるリーダー
Bリーダー:慎重で丁寧だが、質問や問合せにじっくり検討してから答えるリーダー

Bリーダーという方もいらっしゃると思いますが、多くの方はAリーダーと答えるのではないでしょうか?
私なら断然Aリーダーです。

企画開始時は関係者が数名規模かもしれませんが、大きなプロジェクトで企画が進むと数十人になったり、関係するエンジニアや工場スタッフ、セールスマンを入れると数百人規模になる場合も少なくありません。

プロジェクトの要となる企画マンには、いろいろな質問や確認事項が次々と押し寄せます。
いかにすばやく処理していけるかが腕の見せどころでもあります。

企画マンやプロジェクトリーダーにとって重要なスキルは多々ありますが、多くの関係者やプロジェクト全体に最も影響するスキルをあげるとすれば ”スピード” といえるでしょう。

企画マンの一時間の遅れがプロジェクト全体では数十時間、へたをすると数百時間すなわち数日もの遅れとなる恐れもあります。
逆に、関係者がストレスなくスムーズに動いてくれるようになると、プロジェクトに余裕ができ多少の失敗や手戻りがあったとしても、リカバーできる時間の余裕が生まれます。

スピードはスキルかという意見もあると思いますが、立派なスキルでしょう。

調整が必要、あるいは寝かせた方がよくなることが確実、戦略的に即答しない方がよいなどの場合でない限り、とにかくすぐやる癖をつけましょう。
心がけとコツさえ身につければ、スピードアップは誰でも可能です。
まったく難しいことではありません。

まずは、スピードを上げることによる具体的な効果をみていきましょう。

■ スピードによる効果

スピードを上げることによる効果は多々ありますが、私が考える主な効果をあげてみます。

・プロジェクトがどんどん進捗する
・他社、ライバルより常に先手をいく
・プロジェクト関係者がイキイキし、モチベーションがあがる
・仕事に抜けが発生しにくく、発生してもリカバーできる
・協力者が増える


ひとつずつ見ていきましょう。

【プロジェクトがどんどん進捗する】

最もダイレクトな効果ですね。
リーダーの回答が早くなると、当然関係者の仕事も早くなり、プロジェクト全体がどんどん回っていきます。

プロジェクトは進めば進むほど、数々の新たな課題が発見されます。
課題が早くわかるというのは大きな進捗です。
どんどん解決し、軌道修正していきましょう。

いわゆるPDCAですね。
PDCAをいかに高速で回せるかが成功する秘訣でもあります。

【他社、ライバルより常に先手をいく】

非常に重要な項目です。
新規事業や新商品のアイデアは、よほど画期的なものや参入障壁が非常に高い高度な技術でない限り、他社やライバルも似たものを進めていることがほとんどです。
人並のスピードでは、気づいたら他社が先に発表してしまった、あるいは先に導入できたとしてもすぐに続かれてしまい、新規性がほとんどなくなった、、、などということもよくあります。

そのためにも、絶対負けないスピードで他社やライバルより常に先をいくことを心掛けましょう。

さらにいうなら、ライバルは他社だけではありません社内で複数の企画が進んでいるなら、あなたの企画が最も順調と思ってもらうことはとても重要です。

企画自体の死活問題にもなりかねません。
スピード重視でいきましょう!

【プロジェクト関係者がイキイキし、モチベーションがあがる】

リーダーのスピードがはやいプロジェクトは、ストレスなく進んでいきます。

コアメンバー以外の周囲の関係者は、複数のプロジェクトに協力している場合がほとんどです。
質問や問合せへの回答が遅いと後回しになってしまったり、回答がきても、そもそもなんの案件だったかを思い出す必要があったりではモチベーションがあがりません。

血液がサラサラ流れるように、プロジェクト全体がスムーズに進むよう、自分自身のスピードとプロジェクト全体のスピードを意識して進捗させましょう。

【仕事に抜けが発生しにくく、発生してもリカバーできる】

仕事が早い人でミスが多い人もいますが、それは仕事が早いからではなく、仕事が粗いからですね。
私の経験では仕事が早い人の方が正確です。

私自身もダラダラ仕事をしてしまっている時よりも、緊張感もってスピードを意識している時の方がミスは少なく正確です。
スピードを意識すると、小さなミスやつまらない抜けが全体のスピードダウンにつながるため、かえって正確になるのだと思います。

正確で確実な仕事をするという意味でもスピードを意識することは重要ですね。

【協力者が増える】

プロジェクトのスピードがあがり、よいプロジェクトになってくると、それが評判となります。
順調でスピード感がある企画やプロジェクトには協力者や賛同者が増えてきます。 協力者や賛同者が増えるとさらにスピードはあがり、相乗効果が生まれます。
うまく行っていると当然人が集まってきますね。
逆にスピード感がない企画やプロジェクトは協力者がどんどん離れていってしまいます。

スピード感を出してどんどん協力者を巻き込み、それによってさらにスピードを上げていきましょう。

■ スピードを上げるための6つのコツ

では、スピードはどうやったら上げることができるでしょうか?
心掛けだけでも相当上がりますが、“仕事がはやい!”と思った方々の行動や、私が心がけていることからいくつかあげてみます。

①常にミッション、目標を意識する

ちょっと意外かもしれませんが、これが一番重要かもしれません。

「この企画やプロジェクトはどこに向かっているのか?」
「何のためにこの企画を進めているのか?」

これらをリーダーが常に考えていること、さらにメンバーや関係者がそれを理解し意識してくれていると、そのビジョンや目標がモチベーションをアップさせてくれます。

企画マンやプロジェクトリーダーは常にミッションや目標を自分自身に腹落ちさせ、メンバーや関係者にリマインドしていくことが、プロジェクトのスピードをあげる大切なコツです。

②目的、手段を常に意識する

これもスピードへのコツとしては意外かもしれませんが、かなり効果があります。

今行っている作業や議論している内容が、“目的”についてなのか、“手段”についてなのかを意識することで、仕事が効率的になりスピードがあがります。
普段目的や手段をあまり意識していない方はぜひ意識してみてください。

目的に沿っていれば、手段にはあまりこだわらず進めた方がよいケースが多々あります。
よく会議で手段について延々と議論されることがありますが、目的に立ち返り、手段にこだわりすぎるのはやめましょう。

手段が目的とならないように心掛け、今の目的は何か、今議論している内容は、目的なのか手段なのかを意識し判断していきましょう。
目的と手段を意識するだけで、会議やプロジェクトのスピードは格段にあがるはずです。

③メールは即答する

作業のハウツーになりますが、通常のメールは読んだその場で即答するのが基本です。
回答できる内容はその場で回答しましょう。
メールを読んで、なんとなく閉じて時間がたって回答する、、、なんてしていませんか?

後でまとめて回答はもう一度読むことになり時間が倍かかります。
その場で即回答です。

即答できず調査が必要な場合、じっくり考えてから回答したい場合で翌日以降になってしまう場合は、メールを受け取ったことといつ返信できるかの2行を返信しましょう。
そうすることによって、メールを送った側は認識されたことといつ回答がくるかがわかり、予定を立てることができます。

期日までに返信できれば問題ありませんが、遅れる場合、その旨と回答できる期日を連絡すれば、ほとんどの場合問題ありません。
メールにかかる時間が長い方はぜひ実践してください。

④考えない、悩まない

悩むなら何分悩むかを決める新しい課題が出てきたときや進むべきオプションが複数あるときなど、当然迷ったり悩んだりしますよね。
どんな優れたリーダーも同じです。
そんな時は、判断材料がある程度そろったら、迷っていてもいったん決めて走りましょう。

その方向が正しいかどうかは進めてみないとわからないことも多くあります。
リスクがあり迷う場合でも、リスクが小さければとにかく進めてみましょう。

選択肢が二つ(あるいはそれ以上)ありどちらがよいか迷っている時は、多くの場合どちらでも大勢に影響はありません。
進めてみると正解かどうかがわかります。
もし違っていたらやり直せばいいだけですね。

早く決めていったん進めるのがスピードのコツです。
ただし、多額の費用がかかったり、多数の関係者に影響がありそうな場合は、慎重になることも重要です。
そんな時はリスクを最小限にし、テスト的に小さく進めてみるのがコツです。
リーンスタートアップと同じですね。

⑤普段の資料は粗くてもスピード重視

その資料は何のために作っていますか?
内輪のミーティングのために丁寧できれいな資料をつくっていませんか?
自己満足や趣味になっていませんか?

資料作成の時間は大きなコストです。
営業資料などきれいに作った方がよい場合以外は、必要以上にきれいにつくることはやめ、その時間で別のタスクを片付けましょう。

ただし、ポイントがおさえられているか、説明相手がわかりやすいかは重要です。 資料がきれいかどうかとわかりやすいは別ですね。

⑥ミーティングは必要最小人数で、最短時間で終わらせる

ミーティングの目的やゴールを明確にし、事前準備と段取りを心掛けることで、ミーティングの人数を減らし、短時間で行うことができます。

人数、時間はコストそのものです。
空いた時間を作業や調査にまわします。

準備と段取りで、最小、最短のミーティングを心掛けましょう。

■ 気をつけなければならないこと

ここまでスピードを上げることについてお伝えしてきましたが、スピードを上げることによって仕事が雑になってしまい、ミスや抜けが発生しないように気をつけましょう。

つまらないミスや抜けがあると、逆に全体のスピードが遅くなってしまいます。
プロジェクトメンバーや関係者からも雑な印象を持たれてしまうと本末転倒です。

また、交渉相手や顧客の場合、即行動よりも時間を置いた方が戦略的によい場合もあります。
そのような場合は戦略的にいきましょう。

丁寧さとスピードのバランスが大切です。

■ まとめ

企画マンやプロジェクトリーダーに重要なスキルとして、スピードについてお伝えしました。

少し心がけるだけでスピードは格段にあがります。
スピードがプロジェクト全体のモチベーションをあげ、協力者も増やします。

プロジェクトにいまいち元気がない、活気がないと思ったら、スピードを意識してみてください。
必ずプロジェクトの活性化につながります。

ただし、丁寧さだけは心がけてくださいね。
スピード感を出しながら、時折丁寧なところを見せるのも、企画マンやプロジェクトリーダーとしての腕の見せどころです。

あなたのプロジェクトがよいプロジェクトになり、素晴らしい事業や商品につながることを期待しています。
感想やご意見いただけるとうれしいです。

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