企画は10%のクリエイティビティと90%のパワー! | 前編:10%のクリエイティビティ

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企画は10%のクリエイティビティ(創造)と90%のパワー(行動)!

私が某家電メーカーの商品企画チームに入った当初、何をやったらいいのかさっぱり分からずいろいろなアドバイスを聞いて回っていた時に、他企画部門の先輩におしえてもらった言葉です。企画を成功させるにはクリエイティビティ(創造)が10%、残りの90%はパワー(行動)が必要だということです。

今となっては先輩が他から聞いた言葉なのか、はたまたこの先輩自身の言葉なのかも不明です。
ただ、この言葉だけはその後もずっと覚えており、その後の企画マン人生の指針のひとつにもなっています。

企画とは斬新なアイデアを出すのが最も重要と思い込んでいた私にはとても新鮮でした。
エジソンの「天才は1%のひらめきと99%の努力」という言葉にも似ていますね。

私は商品企画に始まり、新規事業開発、サービス企画、コンスーマーから業務用システムソリューションまで非常に幅広い企画、立上げを経験しました。そんな様々な経験をした上で、本当にこの言葉
「企画は10%のクリエイティビティと90%のパワー!」
は言い得て妙だと感じています。

企画という仕事は ”アイデアを出せる人”、”アイデアを出すことが好きな人” でないとさすがに務まらないだろうと思います。
私もアイデアマンかどうかは別にして、アイデアを考えるのが大好きです。

一方で、アイデアマンはたくさんいますが、それを企業の中で数々の壁、ハードルを乗り越えて導入までリードしていける人は限られているのではないでしょうか?
企画マンはリーダーであっても担当者であっても、関係する人を説得し仲間に引き入れていく必要があり、最終的には経営者や上位マネジメントの承認を得て、商品やサービスの導入へとリードします。

そういう意味で「10%のクリエイティビティと90%のパワー」はまさに”言い得て妙”、私の記憶に残り、その後の企画の仕事でよく思い出す言葉となりました。

私なりの考えになりますが、
前編: 10%のクリエイティビティ編
後編: 90%のパワー編
に分けてお伝えしたいと思います。

新規事業開発、商品開発のリーダー、担当者の方々の参考になればうれしいです。

■ 10%のクリエイティビティ

ソニー創業者の井深大さんが言われた言葉に、「1、10、100 の法則」 というものがあります。
ソニー中村研究所をつくられた中村末広さん(元ソニー副社長)もこう言われています。

「キーテクノロジーを見つけるために必要なエネルギーが一とするならば、実際に商品を製造してゆく過程で必要とされるエネルギーはその10倍、消費者に商品を買ってもらうためのマーケティングにおいては100倍のエネルギーが求められる。」
(引用元: 中村末広著 「ソニー中村研究所 経営は1・10・100」日本経済新聞社)

企画という仕事をその商品やサービス、事業の導入までと定義すると、アイデアを生み出すクリエイティビティが10%となります。
90%のパワーの方が数字的にはより重要にも見えますが、この10%のクリエイティビティがなければ何も生まれない、何も始まりません。

また、クリエイティビティが無ければ、仮に生まれたとしても魅力的なもの、つまり売れるものにならないため、最も重要な要素です。
ただ、単に初期のアイデアが発想できればよいかというとそれだけではないと思います。

では、クリエイティビティとは具体的に何なのでしょうか。企業の企画に求められるクリエイティビティについて、私視点になりますがざっと挙げると次のようになります。

  • すばやく仮説を立てるクリエイティビティ
  • 顧客に響くアイデアを生むクリエイティビティ
  • 自社の強み、差別化を発見するクリエイティビティ
  • アイデアが実現できないときに次のアイデアを絞り出すクリエイティビティ
  • 宣伝広告、販売促進でのクリエイティビティ

プロジェクトによって重要度や進め方が異なったり、人によってはそうではないよ、もっと重要なものがあるだろう、などといろいろな見解があると思います。その場合はぜひご意見を頂けるとうれしいです。

詳しく見ていきましょう。

■求められる多様なクリエイティビティ

・すばやく仮説を立てるクリエイティビティ

企画には目標スケジュールがあり、スピードは非常に重要になってきます。
昨今、スピードの重要性がますます大きくなっていることは言うまでもありません。

企画が順調に進むにしても、うまく進まず見直すことになるとしても、早いに越したことはありません。
既存カテゴリー後継機種の企画から全くの新規事業開発までいろいろなレベルの企画がありますが、企業の場合多くは何かしら与えられるテーマや条件があり、それを実現していくことになります。

企画の最初の段階では、それら与えられたテーマに対して方向性や粗い仮説を見つけることが重要です。

最初のクリエイティビティが求められるところです。

ここの素性がよいとその後のプロジェクトがうまく進みます。
逆にここでの素性があまりよくないとプロジェクトがぶれてしまったり、その後の課題が多くなってきます。

急にひとつが見つかるわけではなく、検討すべき方向性、候補となるアイデアなど様々なアプローチから候補のもととなる案をたくさん洗出し、そこから素性がよさそうなものへ絞り込むという作業になります。

素性がよいかどうかはこの段階では分からないことが多いため、素性がよさそうなものをピックアップし、進めながら確認し、軌道修正していくことになります。

・顧客に響くアイデアを生むクリエイティビティ

粗い仮説と周辺情報のリサーチに基づき、想定顧客視点での新しいアイデア、想定顧客がまだ気づいていないあったら便利なもの、あるいは顧客が本当に困っていることの発見です。

粗い仮説の段階で斬新なアイデアが出ていればよいですが、たいていはこの段階ではまだモヤっとしたイメージしかない場合が多いと思います。

新商品、サービスはやはり新しくないと意味がありません。
その仮説に顧客に刺さるアイデアの“種”をここで見つけ出します。

“種”と書いたのには理由があります。
時間をかけてすばらしいアイデアが出ればよいですが、なかなかそうはいきません。

まずは検討を進めながら形を変えても構わない、全く違うアイデアに変わっても構わないくらいの気持ちで、種を見つけることが重要です。
その種をもとにヒアリングや調査を進めて、よりよいアイデアに研ぎ澄ましていくことになります。

・自社の強み、差別化を発見するクリエイティビティ

よく顧客視点がすべて、必ずマーケットインから入る必要があると言いますが、私の経験ではマーケットインとプロダクトアウトの双方からアプローチが必要です。

顧客がまだ気づいていないメリットや課題に、差別化できる自社の強みをうまくあてはめる必要があります。そこを見つける、創り出すのが企画マンの仕事であり、腕の見せ所です。

したがって、2-2と2-3は並行して行うか、プロジェクトによって進めやすい方からで構いません。
どちらかが欠けても強い商品、サービスにはならないでしょう。

この自社の強みや差別化、いわゆる参入障壁が高ければ高いほど、強い企画となります。
顧客視点からのアイデアだけではすばらしいアイデアもインパクトに欠けてしまいます。

またすばらしいアイデアであればあるほど他社が真似してくるため、きちんと想定しておき、参入障壁をつくっておくことは重要です。

現時点での自社の強みがうまく見つからない場合は、実現するにはハードルがある場合は、先行することによってそれ自体を強みにしていくこともできます。

いずれにしても、自社の強み、強い差別化ポイントをこの段階で見つけておく必要があります。
顧客や関係するステークホルダーにも必ずどこが特長なのか、勝てるポイントなのかを説明する必要があります。

クリエイティビティが問われる場面です。

・アイデアが実現できないときに次のアイデアを絞り出すクリエイティビティ

粗い仮説ですが、顧客の琴線に触れ、自社の強みが活かせる、あるいは創れる仮説ができあがり、いよいよ実現に向けて検証していくことなります。
素性がよい仮説でも、そのまますんなり企画が進むことはまずありません。

アイデアが実現できないことが分かったり、すでに類似商品、サービスが世の中にあるのが見つかったりした場合に、それを解決するアイデアを絞りだす必要があります。

これまではどんどん前に向いて進んできたと思いますが、これはいわゆるハードル、壁となり、それを突破するパワーとクリエイティビティが必要です。

さらに大小問わず何度も降りかかってくるので、どんどん解決していく必要があります。
プロジェクトのスピードにも関わってきます。

新しい企画であればあるほどトラブルはつきものです。
多方面のアドバイスは得るものの、最終的には担当企画マンだけが解決していけるものだと思います。

地味ですが、腕の見せ所です。
後編でお伝えするパワーも必要ですが、クリエイティビティさが問われるところです。

・宣伝広告、販売促進でのクリエイティビティ

もう一つ重要なクリエイティビティの要素があります。

企画が進み、いよいよ導入が見えてくると、どのように導入するか、どのように訴求していくのか、広告宣伝部署やマーケティング部署といっしょに進めることになります。

ここでも商品やサービスを一番よく知っている企画マンがコンセプトがぶれないように、リードしていく必要があります。
企画の早い段階で宣伝コピー、カタログイメージをつくれているものは素性がよいとよく言われます。
逆にここで苦労する企画は素性がよくないかもしれません。

差別化ポイントをうまく訴求しながら、顧客の琴線に触れる訴求をつくっていく非常に重要なステージです。
広告宣伝業界自体がクリエイターとも言われるほど、クリエイティビティが問われる場面です。

マーケティングや広告宣伝の部署が無い場合は、企画マンがすべてを進めることになりますが、マーケティングや広告宣伝部があったとしてもすべてを任せず、必ず企画が協力し、リードして進めてください。

■まとめ

「企画は10%のクリエイティビティと90%のパワー!」
の10%のクリエイティビティについて私の経験からお伝えしました。

企業の企画には、初期のアイデア発想だけでなく、いろいろな場面でクリエイティビティを発揮する場面が現れます。
いかによいアイデアをタイムリーに出せるかが企画の腕の見せ所です。

1%のクリエイティビティではなく、10%がしっくりくるとしているのもこのためだろうと思います。

クリエイティブなアイデアを発想できるか、各ステージでクリエイティビティを発揮しながら推進していけるか、企画マンに不可欠な能力、スキルです。

後編では90%のパワーについてお伝えします。

読者皆さんのご意見を頂けるとうれしいです。
また、ご質問、お問合せはこちらまでお願い致します。

「後編:90%のパワー」もご覧ください。

 

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